落語の蔵 情報
浜松町かもめ亭音源登場!
『落語の蔵』では、文化放送・メディアプラスホールで毎月開催されている落語会「浜松町かもめ亭」と『かもめ亭 ぶらり出前の旅』『二十世紀の新作落語を聴く会』での最新録音を独占配信しています! 現在のラインナップを紹介しましょう。(2011年10月29日更新
神田阿久鯉『天明白浪伝〜むささびの三次最新掲載情報 2011.10.28 配信開始

神田阿久鯉先生の『天明白浪伝・むささびの三次』。
講釈や人情噺で『白浪物』と呼ばれる泥棒演目の一つ。明治時代には「泥棒伯圓」と呼ばれた白浪物の名人もいたほど。演者の阿久鯉先生は近年の女流講釈師には珍しく、「白浪物」を得意としています。この阿久鯉先生へは師匠の三代目神田松鯉先生から伝わった、いわば師弟相伝の出し物。阿久鯉先生は神田派本流らしく、如何にも講釈らしい硬さと強さのある調子で、むささび三次と弟分の稲葉小僧新助が何のためらいも無く人を殺し、金を奪う、爛熟した時代ならではのピカレスク、悪党譚の雰囲気を描きだしています。

また、冒頭の芝神明の揚弓場の女や、むささび三次の情婦である女郎上がりのお時のしどけない、玄人っぽい婀娜な艶の出し方も独特で、如何にも「江戸のバブル期」の始まりの時代である天明期を刹那に生きる江戸庶民の色と欲が感じられます。
(2011年6月28日「浜松町かもめ亭

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■落語の蔵で、『天明白浪伝』シリーズ
『天明白浪伝 〜むささび三次の召捕り』 神田阿久鯉
『天明白浪伝〜稲葉小僧』 神田阿久鯉
林家正雀『引窓与兵衛 2011.10.14 配信開始

上州・木崎の在の名主、与次兵衛はたびたび江戸にやってきて、辰巳(洲崎)の芸者、お早となじみになる。お早のことを気に入った与次兵衛は金を積んで身請け。彼女を上州に連れ帰り、妾として何不自由ない暮らしをさせる。ところが、与次兵衛の正妻とお早の耳に、あることないこと讒言をする輩がいたことから、正妻とお早が疑り合う関係に。間にはさまれた与次兵衛は疲労困憊して、お早を江戸に帰そうかと思案する。この話を小耳にはさんだのが廻り髪結いの与兵衛。江戸から上州に流れてきた素性の知れぬ男である。与兵衛は「お早を江戸に帰すのなら、あっしが女房にしたい」と名乗りを上げ、与次兵衛から五十両の金を受け取って同じ村に所帯を持つ。はじめはうまく行っていた二人だが、与兵衛はもとからの遊び人。博打三昧で金も使い果たし、生活は貧窮。ある雨の日のこと、お早の住まいに雨宿りした与次兵衛は・・・。
三遊亭圓朝が二代目三遊亭圓生の作品に手を加え、芝居噺として演じていた一席。本来はもっと長い噺であったらしいが、全段が演じられることはなく、八代目林家正蔵が継承していたこのくだりが残った。正雀は言うまでもなく、師匠である八代目正蔵の口演を手本にしている。歌舞伎ファンならすぐ気がつくように、この噺の登場人物名は浄瑠璃「双蝶々曲輪日記」からとられている。浄瑠璃の「引窓」で、大罪人である濡髪を逃がしてやる男が「南与兵衛」、その妻がもと遊女の「お早」である。また、噺のほうには「引窓」そのものが絡むくだりは無いのだが、物語が夕刻から夜半にかけてのサスペンスであるところが浄瑠璃と共通している。もうひとつ。この噺は上方落語の「算段の平兵衛」によく似ている。与兵衛が使う二つのトリックはほぼ同じであり、どちらが先行していたかは不明だが、「引窓与兵衛」はシリアスに運び、「算段の平兵衛」は滑稽噺として処理されるという相違が興味深い。正雀の口演は与次兵衛の実直さをよく表現。たいする与兵衛の人物像は、死骸隠蔽のため女房までを巻き添えにする男の非常さがつめたい魅力。こんな男に見込まれたお早の言葉が一層の哀れをさそう。現行の芝居噺の中でも口演頻度は高くなく、貴重な録音である。
(2011年7月15日「第47回 浜松町かもめ亭 正雀・九雀芝居噺二人会」

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林家正雀『田能久 2011.10.14 配信開始

徳島の在、田能村に暮らす久兵衛という男は大の芝居好き。本業はお百姓だが、ひまを見ては素人芝居の稽古。しまいには芝居好きの仲間と誘い合わせ「田能村の久兵衛一座」を旗揚げするまでになった。あるとき、伊予の宇和島から「久兵衛一座を招きたい」といううれしい誘いが舞い込む。久兵衛一行は荷車に小道具、衣装、かつらなどを積み込み、宇和島で芝居の幕を開ける。ところが、芝居が開いて三日目、久兵衛のところに手紙が届く。読めば、田能村に残してきた母親が急病ですぐに帰ってこいという知らせ。孝行者の久兵衛は一座の仲間を残し、一人で村へ帰ることにする。その道中、日暮れになって鳥坂峠(とさかとうげ)に差し掛かると、地元の人々が「ここを夜越ししてはならぬ」と言う。聞けば、山中にはもののけが住み、無事には山越し出来ないと言われているのだ。しかし、一刻も早く母親に会いたい久兵衛は峠に足を踏み入れ・・・。
素人芝居をモチーフにした民話的な一席。舞台が四国にはっきりと指定されているのもめずらしい。四国に伝わる説話を落語に仕立てたという説もある。正雀の口演は、まず孝行者の久兵衛の人物像が好ましい。会話のはしばしから、芝居が好きではあるが、それ以上に母親孝行であり、無理をしてでも峠の山越をする実感が伝わってくる。山中に住むうわばみとの対面では、久兵衛がとっさの機転でお姫様や大江山の酒呑童子に化ける。ここは下座も入り芝居掛かった演出。うわばみが「メル友になろう」などという現代語ギャグも効いている。みずからが芝居好きで、鹿芝居(落語家芝居)を長年続けている正雀ならではの好演。
(2011年7月15日「第47回 浜松町かもめ亭 正雀・九雀芝居噺二人会」

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林家しん平『鬼の面 2011.08.26 配信開始

伊勢屋という商家に奉公する六歳の娘、お松。お松は口減らしのために山二つ越えた村から奉公に出され、子守りなどの仕事をしている。今日も泣きやまない赤ん坊を背負いながら出かけたのは近所の古道具屋。店先に置いてある粗末な「おかめ」の面が故郷の母親によく似ているので、このところ眺めにきているのだ。お松から事情を聞いた古道具屋の親父は、おかめの面を只でゆずってやる。納戸で寝起きしているお松は、箪笥の中におかめの面をしまい、夜更けにそっと話しかける。ある晩のこと、廊下に漏れてくるお松のしゃべり声を気にした女中が、番頭をたぶらかして真相を調べさせる。箪笥の中の面を見つけた番頭は、いたずら心をおこし、おかめの面を鬼の面に置き換えてしまう・・・。

林家しん平の作による新作落語。落語には商家の奉公人をモチーフにした噺がよくあるが、それらの多くは男子の丁稚、小僧。本作は六歳の女の子を主人公にした点に新味がある。しん平の口演は、甲高い声音をうまく生かし、口減らしに奉公に出された娘の心細さ、おかめの面を母親に見立てて話しかける子供の純真さをよく表現している。後半、鬼の面が思わぬ効果をあげて、お松が無事に山越えをする展開も面白い。一席物の落語としては場面の多い噺だが、演者自信の言うとおり、映画的に楽しめる一席である。今回のテイクは林家しん平監督作品の映画『落語物語』公開記念の会で録音されたもの。マクラで主人公を演じた柳家わさびや映画上映館の話題にもふれている。
(※上方落語に同題の噺があり、人物配置や面の扱いなどよく似た点があるのですが、しん平師匠は上方作品と関係なく独自に噺を仕立てたとのことですので新作落語と記しています。また、マクラの中で語られる映画の上映情報は収録当時のものです)

(2011年4月22日「第45回 浜松町かもめ亭」(映画『落語物語』公開記念)」での録音)

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隅田川馬石『柳田格之進 2011.08.26 配信開始

江州彦根藩主、井伊掃部頭の家臣、柳田格之進は実直な武士であったが、清廉潔白すぎる性分を煙たく思う輩の讒言によって失脚。浪人となって、いまは浅草の裏長屋で一人娘と静かに暮らしている。日々、思い悩んでいる格之進の鬱屈を心配した娘のおきぬは、気晴らしの外出を勧める。格之進は娘の言葉に従い、材木町にある碁会所に出入りをはじめた。そこで出会ったのが質両替商の主人、萬屋源兵衛。囲碁の腕も同格であり、気性もあった二人は、毎晩手合わせをするようになる。親しくなった二人は源兵衛の提案で碁会所ではなく、萬屋の離れ座敷で碁を打つようになる。ある日のこと。水戸様から集金した五十両の大金が紛失するという事件が勃発。番頭が五十両の金を離れ座敷で源兵衛に渡したことは間違いなく、そこに出入りしていたのは源兵衛、格之進、番頭の三人だけ。萬屋は「私の勘違い」だと事をおさめようとするが、格之進が盗んだのではないかと疑った番頭は・・・。

講談から落語に移されたシリアスな一席。「柳田の堪忍袋」「碁盤割」などの異名もある。人情噺の大物と言ってよく、馬石の大師匠、十代目・金原亭馬生、そのまた師匠の古今亭志ん生も手がけていた。馬石はマクラで語っているとおり、映画『落語物語』の劇中劇で演じることになったのがきっかけで2011年に初演。このテイクが数回目の口演である。主人公である格之進が、身に覚えの無いことながら、五十両を無理に工面したためその後に親子がどんな人生を歩むかにはいくつかの型がある。娘が死んでしまうという悲劇的な型もあるが、今回の馬石は独自の改訂をほどこし、たいへんに後味の良い形に直している。また、主人公である格之進の品格の表現もいい。実直であると同時に、くだけた振る舞いが出来ない不器用な人間性もよく伝わってくる。勝手な振る舞いによって周囲に迷惑をかけた番頭を萬屋主人がかばうくだりにも自然な情があり、若手真打の「柳田格之進」として上々の出来映えである。マクラでは映画『落語物語』の撮影秘話も語っている。

(2011年4月22日「第45回 浜松町かもめ亭」(映画『落語物語』公開記念)」での録音)

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柳家喜多八『うどんや 2011.07.29 配信開始

文字通り、夜の町を流して歩く荷商いの「うどんや」さんを主人公にした一席です。
「鍋焼きうどーん」という売り声とともに夜ふけの江戸の町を往来するうどんやさん。
ある晩は酔っぱらいにつかまり、同じ話を何度も聴かされたあげく、水だけをただ飲みされてしまいます。気を取り直し、また歩き始めると、今度は商家から呼び止められますが…
という一席。
この噺はサゲのある滑稽噺ではあるのですが、酔っぱらいの聴かせる、友達の娘の婚礼話が眼目になっています。喜多八さんの口演は、男の語りになんとも言えない生活実感があり、
聴かせます。後半、うどんを作るシーンでは、うどんやさんの扇ぐ渋うちわの音で彼の心持ちが表現されます。夜の静かな雰囲気を大事にした喜多八さんの大人の芸をご堪能ください。

(2011年2月28日「第44回 浜松町かもめ亭 喜多八・一之輔の会」での録音)

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■落語の蔵で、『うどんや』を ききくらべ!
『うどんや』 柳家喬太郎
柳家喜多八『長短 2011.07.29 配信開始

気が長く、何をするのもスローモーな長さんと、気が短くすぐにジリジリしてしまう短七さんのやりとりをスケッチした一席です。
喜多八さんは性格が正反対な二人をたくみに描き分け、とくに長さんのノンビリした言動をじれったく感じ、一口で餅菓子を食べたり、すごいスピードで煙草を吸ったりする短七さんのハイテンションな癇癪ぶりが笑いを誘います。
この二人、気性は対照的ですが長い友達。短七さんの悪態にも愛情が感じられ、全体にほのぼのした気分が横溢します。。

(2011年2月28日「第44回 浜松町かもめ亭 喜多八・一之輔の会」での録音)

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■落語の蔵で、『長短』を ききくらべ!
『長短』八代目 雷門助六
『長短』桂小金治
春風亭一之輔『明烏 2011.05.27 配信開始

日本橋田所町・日向屋の若旦那、時次郎は二十歳になるというのになんとも幼い。今日も町内の稲荷祭りで子供たちと太鼓をたたき、強飯を十三杯も食べてきたというので父親は渋い顔。親父が「少しは世間を知った方が良い」と意見すると、時次郎は町内の遊び人、源兵衛と太助の二人から「浅草の観音様の裏手にある霊験あらたかなお稲荷さんに行こう」と誘われたところだという。じつは親父が、我が子に少しは遊びを教えてくれと源兵衛と太助に頼んでおいたのだ。出掛ける先はお稲荷様ではなく吉原なのだが、うぶな時次郎は気付いていない。親父は「それはいい、お籠もりをしておいで」と外出を薦める。源兵衛、太助と待ち合わせた時次郎は本当に「お稲荷様参詣」と思い込み、日本堤を北上して吉原へ。遊び人二人は、ひやかしの客を「参詣人」、遊廓の女中達を「お巫女さん」などと言って時次郎を登楼させる。座敷にあがってからようやっとここが吉原だと気付いた時次郎、あわてて帰ると言い出すが、二人は「吉原に足を踏み込んだら、一人だけ勝手には帰れない法がある」と奇妙なことを言い出す・・・。

(2011年2月28日「第44回 浜松町かもめ亭 喜多八・一之輔の会」での録音)

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■落語の蔵で、『明烏』を ききくらべ!
『明烏』 八代目 三笑亭可楽
『明烏』 柳家小満ん
『明烏』 柳家喜多八
『明烏』 桃月庵白酒
春風亭一之輔『短命 2011.05.27 配信開始

町内の植木職人がご隠居のところを訪ね「伊勢屋の亭主が三度死んで、今夜が弔いだ」と突飛なことを言い出すのが噺の幕開き。植木職人の話によれば、町内の大店、伊勢屋には娘しかいないのでだれか婿を貰って娘夫婦に家督を継がせようという話になった。選ばれたお婿さんは鼻筋のすっとした役者のようないい男。娘とも似合いで「一対のお雛様」と祝福された。夫婦仲もよく新婚生活を謳歌していたが、数ヶ月すると亭主の顔が青くなり、やがて寝込みあっという間に死んでしまった。娘のそのまま後家にしておくわけにもいかず、二人目に貰ったのは一人目と対照的に頑丈一点張りの男。岩のようにがっしりとした体躯で顔は真っ黒。祝言をあげ、新婚生活をはじめたが、これもしばらくすると黒い顔が青くなり、そのまま亡くなってしまった。そして三人目に貰った亭主も今朝亡くなり、今晩がお弔いだという。不思議なこともあるものだと首をかしげる職人に、隠居は伊勢屋の娘の容姿を尋ねる。年齢は三十三歳でふるいつきたくなるようないい女だと聞いた隠居は、亭主短命の原因があらかたわかったという。隠居は「何よりもそばが毒だと医者が言い」という川柳を引いて悟らせようとするが、植木職人にはなかなかわからず・・・。

(2011年2月28日「第44回 浜松町かもめ亭 喜多八・一之輔の会」での録音)

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桃月庵白酒『転宅 2011.05.06 配信開始

舞台は大川端にもほど近い粋な町、浜町。間抜けな泥棒が、一軒の妾宅に忍び込むのが噺の幕開き。家には誰もいないと思いこんだ泥棒先生、食卓の膳に酒、肴が残っているのを発見し、夢中で盗み食いをしているところを家の主、お菊に発見され飛び上がる。泥棒はあわてて「大人しく金を出せ」と脅しに掛かるが、お菊は鼻で笑い「わたしゃ、おまえさんの同業者だよ」と言い出す。お菊の本業は泥棒だが、いまは金持ち旦那の妾の身の上。しかし、旦那と別れることになり、明日からはどうなるかわからないという。さらに「あたしのような女だけど、お前さんのような男と所帯が持ってみたいものだね」と泥棒を口説き出すお菊。泥棒先生は鼻の下を伸ばし、すっかりその気になってしまう。「今日は用心棒が二階にいるから、明日また昼過ぎに来ておくれ。三味線の音をさせるから、それが合図だよ」というお菊の言葉に、泥棒は夢うつつで帰っていく。さてその翌日。泥棒は昨日の家を訪れるが…。

(2010年12月20日「第43回 浜松町かもめ亭 五代目柳小せん・三代目蜃気楼龍玉 真打昇進襲名披露会」での録音)

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蜃気楼龍玉『夢金 2011.04.28 配信開始

噺の幕開きは山谷堀沿いの船宿。雪がしんしんと降る晩、船宿の二階で寝ている船頭の熊が「百両欲しい?」と寝言を言っている。この男、仇名を“欲の熊蔵”と呼ばれるほど欲深な人物で、大きな寝言に階下の船宿主人も呆れ顔。そこへ訪れたのがやれた身なりの浪人と美しい町娘の二人連れ。「兄妹で芝居見物の帰り。深川まで舟を一艘頼みたい。雪の中ゆえ酒手は幾らでも」と侍が言うや、熊は飛び起きる。舟が雪景色の大川へ出ると侍が熊に「娘は大店の家出娘で懐に百両近く持っている。殺して金を奪うから手伝え。断ればお前から斬る」と打ち明ける。震えながら「幾ら出す?」と割前を訊く熊に「二両も遣わそうか」と侍が言うと、「人殺しを手伝って二両じゃ安い。舟をひっくり返す」と泳げない侍を熊が逆に脅す。結局、金は山分けと話が決まり、舟は殺害場所に選んだ川の中州へと向かうが…

(2010年12月20日「第43回 浜松町かもめ亭 五代目柳小せん・三代目蜃気楼龍玉 真打昇進襲名披露会」での録音)

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柳家小せん『夜鷹の野ざらし 2011.04.28 配信開始

長屋の住人、八五郎が隣家のご隠居、尾形清十郎先生のところへ飛び込むのが噺の幕開き。日ごろ「婦人は好まぬ」などと堅物ぶっている清十郎先生の住まいへ、昨晩は妙齢のご婦人が訪ねてきた。八五郎は長屋の壁に穴を空け、二人のいちゃつき一部始終を覗き見したという。「ありゃ一体なんですか!?」と詰め寄る八五郎。しかし清十郎は落ち着き払い「あれはこの世の者ではない」と不思議なことを言う。昼間、釣りに出かけた清十郎は向島の河原で野ざらし(人骨)を発見。哀れに思い、ふくべの酒をかけ、手向けの句を詠んで帰ってきた。夜になると長屋を訪ねてきたのが美しい女性。実は幽霊で、昼間、回向をして貰った礼を言いにきたのであった。意外な真相を聞いた八五郎、自分も釣りに行けば美しい幽霊といい仲になれるかと思いこみ、清十郎の釣り竿を勝手に借りて向島へ。釣り人でにぎわう土手に割って入り「骨を釣ろう」と竿を振り回す。その様子を見ていたのが向島で商売をしている一人の夜鷹…

(2010年12月20日 「第43回 浜松町かもめ亭 五代目柳小せん・三代目蜃気楼龍玉 真打昇進襲名披露会」での録音)

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古今亭寿輔『ラーメン屋 2011.03.30 配信開始

夜ふけの街角に屋台のラーメン屋が出ている。老夫婦二人で切り盛りしている店だ。そろそろ店仕舞いという時刻になって、若い男がやってきた。年の頃は二十代前半。男はラーメンを注文すると、あっという間に平らげ、おかわりを所望する。よほど空腹なのであろうか、二杯目もすぐに食べ終え、三杯目。その様子を見ていた老夫婦の女房は「おじいさんの若い頃に似ている」という。この老夫婦には子供が無く、もし子供がいたらこんな若者になっていただろうかと想像したのだ。三杯のラーメンをすっかりと平らげた若者は「おれを無銭飲食で交番に付きだしてくれ」という。訳を訊けば、男は子供の頃から身寄りが無く、勤めも続かないので金もなく、頼れる人もところもないので自暴自棄になってこんな行動に出たのだという。話を聞いた老夫婦は…。

柳家金語楼が書きおろし、古今亭今輔によって1965年に初演された戦後の新作落語である。新作落語の多くは時代と供に廃れてしまうが、この噺は半世紀近くがたった現在も古びることなく、今輔の孫弟子である寿輔ほか現役の落語家に継承されている。それだけよく出来た噺だと言えるだろう。孤児として育ち、屈折した若者と子供を授からなかった老夫婦の対比。そして両者が演じる「家族ごっこ」。そこには「ごっこ」だからこそ宿る無垢な喜びと、平凡な「家族」がいかに貴重なものかという視点がある。寿輔の口演は老夫婦のひと言ひと言が聴く者に染み入る暖かさ。対する若者も、ひねくれた口調の中に愛情への渇望がよく表現されている。寿輔落語を代表する佳品。

(2010年10月17日 「二十世紀の新作落語を聴く会」での録音)

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立川雲水『動物園 2011.03.11 配信開始

どこに勤めても三ヶ月ともたない男が主人公。いまも職にあぶれ、ぶらぶらしている。友達が新しい職探しの相談に乗るが、この男、仕事に求める条件がすごい。「肉体労働がダメで、頭脳労働もダメ。社交も苦手で早起きはしたくない。昼食は会社持ちで、そのあと昼寝がしたい。仕事は夕方にはきっちり終えて帰宅したい。そのうえ、皆からきゃーきゃー言われて人気者になって、日給一万円も貰えれば十分」だとのたまう。友達も呆れるが、そんな男にひとつだけうってつけの仕事があるという。ある移動動物園では虎とライオンを展示の目玉にしていたが、先日、急病で虎が死んでしまった。そこで「虎の代役」をしてくれる人を求めていると言うのだ・・・。

明治から大正時代にかけて大阪で活躍した二代目・桂文之助による新作落語の一席。原話は西洋にあるとも言われている。文之助の構成はたくみなもので、現在では上方、東京の落語界でよく演じられる定番ネタになっている。雲水は関兵庫県出身。東京落語界に身を置きながら上方落語を演じているユニークな存在で「動物園」も得意ネタのひとつ。今回のテイクでは、まず無職の男が平然と「職場に求める条件」を並べ立てるのが笑いを誘う。舞台が動物園に移ってからは、唐突に開催される「世界猛獣ショーチャンピオン決定戦」の司会者が面白い。その口調、文言にアナクロな味があり、いかにも「古風な新作落語」の雰囲気なのである。洒落たサゲまで愉しく聴ける小品佳作。余談だが、動物園長の名前、松岡は雲水の師匠、立川談志の本名である。

(2010年10月17日 「二十世紀の新作落語を聴く会」での録音)

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三遊亭歌武蔵『かんしゃく 2011.03.11 配信開始

時は大正時代あたり。山の手のあるお屋敷に主人が帰宅するのが噺の幕開き。運転手が運転する自動車で帰宅した主人は、玄関に降り立つやいなや「玄関に箒が出ている。下駄が散らかっている。それに帽子掛けも曲がっている」と癇癪を爆発させ、奥様や使用人をしかりとばす。そのあとも「庭に水がまいていない」「蜘蛛の巣が出来ている」「お茶が出ない」と小言のつるべ打ち。会社の用件で屋敷にやってきた部下の山田も主人の癇癪にあてられて早々に帰ってしまう。それまでじっと我慢をしていた奥様のしず子もとうとう辛抱しきれなくなり、「暇がほしい」と切り出す。それを聴いて主人はまた癇癪。出て行け!としず子を追い出す。実家に帰ったしず子は両親に一部始終を話し・・・。

噺の作者は明治後期から大正時代にかけて戯曲作家、作詞家として活躍をした益田太郎冠者。実業家として三井財閥に重きをなした益田鈍翁男爵の子息でもある。太郎冠者は「かんしゃく」のほかにも落語「堪忍袋」「宗論」を創作。この三作はいずれも今日に至るまで口演をされている。作詞家としては「コロッケの唄」がよく知られている。男爵家に生まれ育った作者らしく、当時の富豪の暮らしがスケッチされている。使用人を遠慮会釈なくしかりとばす主人の振るまいが時代を感じさせるほか、自動車や扇風機、アイスクリームといった「当時のモダン」な小道具がよく効いている。歌武蔵の口演は、癇癪を爆発させる主人をテンション高く描くが、その中にこの男の不安定さ、一抹の空疎も感じさせる。後半、しず子の実家の場面では男親と女親の対比を際立たせ、子を思う親の心をよく描写。全体を通じ笑いと同時に、「家庭内での男とは何か」を考えさせる、苦味を含んだ一席である。

『二十世紀の新作落語を聴く会』での録音。

(2010年10月17日 「二十世紀の新作落語を聴く会」での録音)

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三遊亭兼好『お見立て 2011.02.04 配信開始

噺の舞台は吉原。花魁の喜瀬川に惚れられたと思いこんだ杢兵衛(もくべえ)大尽が登楼してくる。しかし、喜瀬川は野暮大尽が大嫌い。いつまでたっても座敷に出ていかないので、店の若い衆、喜助が「花魁は病気で伏せっている」と仮病を使い、追い返そうとする。野暮大尽はそれでも言うことを聞かず「では見舞いに」と言い出す。喜助が「廓の掟で、お客様の見舞いは出来ない」と言うと、大尽は「では兄弟だと言うことにして見舞おう」と負けていない。困り果てた喜助に、喜瀬川は杢兵衛大尽をなんとか追い返そうと思案。ついに「花魁は大尽に逢えない悲しさのため、焦がれ死にをしてしまった」ということになる。しかし木訥なお大尽は涙を流し「墓参りに行くべえ」と言い出す。喜助も引き下がれなくなり、お大尽を山谷の適当な寺へ案内するが・・・。

(2010年10月18日 第42回「浜松町かもめ亭」での録音)

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■落語の蔵で、『お見立て』 を ききくらべ!
『お見立て』 桂文朝
『お見立て』 入船亭扇遊
『お見立て』 古今亭志ん輔
三遊亭兼好『祇園祭最新掲載情報 2011.02.04 配信開始

旅に出た江戸っ子が東海道を上り、京都へ到着。伯父さんのところへ厄介になり、しばらく逗留をすることになる。ある日。たまたま入った料理屋で地元、京都っ子と盃をやりとりするするが、会話が次第に険悪に。江戸っ子が酒を飲み「こんないい酒は江戸では飲めない」というと、京都人は「そら、そうやろなあ。京は王城の地。日本一の都や」と自慢をはじめる。江戸っ子が「京都は落ち着いているが、江戸には活気がある」と言うと、京都人は「江戸はどこへ行ってもごちゃごちゃ、人間もちょかちょか。軒下には犬のばば(糞)がたくさん。武蔵の国の江戸やなくて、むさい国のへどや」と言いたい放題。次に、二人は祭り自慢をはじめる。京都人が祇園祭の山鉾巡行の様子を「コンチキコンチキコンチキチ・・・トヒャーリ」と再現すると、江戸っ子は「そんなんじゃ屋台が進まねえ。江戸の祭囃子を聴いてみろと反論。「オヒャイトロ、オハイトロ、ドドテドテン、オーヒューヒャイトロ、ヒャイトロ・・・」とこちらは威勢良く口で囃子を再現する。江戸っ子と京都っ子の土地自慢の決着は・・・。

(2010年10月18日 第42回「浜松町かもめ亭」での録音)

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九代目桂文楽『素人鰻 2011.01.31 配信開始

今回は2010年7月に開催されました落語会〈「浜松町かもめ亭」CDボックス「文化放送アーカイブス蔵出し落語特選」刊行記念会〉から九代目・桂文楽さんの「素人鰻」を蔵出しいたします。
この落語会は文化放送に遺された八代目・桂文楽、五代目・古今亭志ん生、六代目・三遊亭圓生の落語を集成したCDボックスの刊行を記念したもので、昭和の三名人の弟子、孫弟子が文楽、志ん生、圓生にちなんだ噺をするという趣向のものでした。文楽さんの演目は先代の十八番から「素人鰻」。
明治のはじめ頃。それまで武士として生活をしていた人々が職を失い、それぞれに経済的自立をしなくてはならなくなりました。そこで商売をはじめた人も多かったのですが、失敗するケースが多く「士族の商法」と言われました。
ここにある一人の旦那ももとは武士。生活をするために汁粉屋でもはじめようかと思案していたところに出くわしたのが鰻料理屋「神田川」の元職人で金という男。金は汁粉屋ではなく鰻屋をはじめませんかと持ちかけます。この男、鰻裂きの腕はよいのだが酒癖が悪くて周囲を困らせてばかり。旦那はそこが気になったのですが、金から熱心に勧められ、鰻屋をはじめることにします。さて、開業式の日。祝いにやってきた客が金にも酒を勧めます。はじめは「酒を断った」と断っていた金ですが「開業式の祝いだ。飲め」と強く勧められ、盃に口をつけたら大変・・・という一席です。
文楽さんの口演はそっくり八代目文楽うつし。前半の聴きどころは、金の明朗な人物像と、それが酒によってひっくりかえっていくくだり。開業式での飲酒シーンをじっくりと描き、酒乱の生態を克明につかんでいます。後半は、業を煮やした旦那がみずから鰻を裂こうとするドタバタ騒ぎになります。大の男が鰻をつかまえられない滑稽さと、士族の悲哀がないまぜになり独特の味わい。マクラで往年の文化放送について回顧しているのも貴重な録音です。
「落語の蔵」には初登場。桂文楽さんの円熟の芸をお楽しみください。

(2010年7月28日 第40回「浜松町かもめ亭」での録音)

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神田阿久鯉 『天明白浪伝 〜むささび三次の召捕り〜 2010.12.07 配信開始

「落語の蔵」でははじめての配信となる「講談」(講釈)です。
長編の世話講釈「天明白浪伝」より「むささび三次の召捕り」のくだりを神田阿 久鯉さんの口演によりお送りいたします。
噺の舞台は品川。現在は都心といってもよい場所ですが、江戸の天明時代は東海道の宿場町でした。ここで宿場女郎屋をはじめたのがお鉄という女。猫なで声で 遊女たちに挨拶をしますが、実は「金棒お鉄」と綽名される悪党です。このお鉄、一晩客の付かなかった遊女には熱した鉄棒を尻に押しつけ「印」を付けるなど非 情な振る舞いで遊女たちを震えあがらせます。ある日のこと、この店に登楼した のがちょっと影のある男で・・・という物語。 阿久鯉さんの口演は悪の魅力が横溢。悪婆のお鉄の非情な言動と、過去のある悪党、三次の振る舞いをドラマチックに描き出します。捕り物のシーンには宿場町 の緊迫した空気が広がり大迫力。格好いい白浪物の一席をご堪能ください!
(2009年7月2日 第32回「浜松町かもめ亭」での録音)

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月亭八天 『おごろもち盗人 2010.12.07 配信開始

上方落語の滑稽噺「おごろもち盗人」。
「おごろもち」とは古い関西弁で「もぐら」のことである。 噺の舞台は大阪の商家。節季(商売の勘定をする日)の前夜、家のあるじが帳面 をつけている。その頃、家の外では夜がふけるのを待って道ばたで穴を掘っている男が一人。この男こそ「おごろもち盗人」。
玄関先に穴を掘り、そこから手を 伸ばして戸の掛け金を外し、盗みに入ろうとしているのだが・・・というストー リーの一席。
月亭八天さんは月亭八方師匠の二番弟子でキャリア24年の中堅落語家。この噺でも、商家の夫婦二人の会話から夜のふけた雰囲気をよく出し、後半では 言動がころころ変わる泥棒のキャラクターで笑いを誘います。上方言葉の盗人は東京落語にはないユーモラスな味。上方落語の空気が良く出た一席をお楽しみください。
(2009年3月27日 第28回「浜松町かもめ亭 東京月亭会」での録音)

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古今亭志ん輔 『お見立て 2010.11.12 配信開始

噺の舞台は遊廓「吉原」。田舎者のお大尽は花魁に嫌われているとも知らず、な じみの店に登楼しますが、指名をされた花魁の喜瀬川はお大尽が大嫌い。 仮病を使って座敷に出るのを避けようとしますが、野暮大尽はそんなことではお さまらず「では見舞いに行くべえ」と言い出す始末。喜瀬川に指示されるまま、 お大尽を追い返そうとする店の者の嘘はエスカレートし・・・という一席です。
喜瀬川は遠方から通ってくるお大尽を「嫌い」だと言ってはばからないワガママ な遊女ですが、志ん輔さんの口演は、遊廓の水に染まった女の身も蓋もない言動 をストレートに描き、不思議といやな感じはしません。志ん輔さんのスッキリと した口調、運びの効果でしょう。 対するお大尽も、野暮天ではありますが、店の者の作り話を真に受け、涙をなが すくだりなどには木訥な人間性がよく出ています。 噺の中の時間経過を現す演出なども含め、志ん輔さんならではの繊細な味わいが 楽しめる一席です。
(2008年9月30日 第21回「浜松町かもめ亭」での録音)

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桃月庵白酒 『松曳き 2010.10.15 配信開始

江戸詰のさる殿様が家臣の田中三太夫を呼び出すのが噺の幕開き。この殿様と三太夫、物忘れが激しいうえに粗忽者。二人の言動はいつも周囲の混乱を招いてばかり。殿様は庭の築山横にある赤松を泉水べりへ移そうと提案するが、三太夫は先代の植えた松が、万が一枯れるようなことがあってはいけないと直言。「餅は餅屋と申します」と本職の植木職人に移植が可能かどうか訊ねることにするが、なぜか「餅屋!これ餅屋!」と餅屋を呼びに行ってしまう。やっと呼び出された植木職人が殿様と対面し、松の移植について言上するが、三太夫に「言葉は丁寧に。あたまに”御”、おしまいには”奉る”の言葉をつけるように」とアドバイスされたのがあだとなり、滅茶苦茶な会話になる。そうこうするうち、三太夫に国表(故郷・地元)から書面が届く。書面に目を通した三太夫は顔色を変え・・・。
(2010年3月25日 第38回「浜松町かもめ亭」での録音)

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古今亭菊六 『粗忽長屋最新掲載情報 2010.10.12 配信開始

まめでそそっかしい男が浅草寺で人だかりに出くわす。聞けば、行き倒れの亡骸が発見されたが、身元がわからず困っていると言う。人垣をかきわけて亡骸を見た男は仰天、「こりゃ熊の野郎だ」と叫ぶ。男は長屋の隣人、熊五郎が死んだのだと思いこみ「いま、本人を呼んできますから」と長屋へ飛んでいく。長屋でごろごろしているところを叩き起こされた熊も粗忽者。男に「早く亡骸を引き取りに行かなきゃいけねえぞ」と言われ、その気になる。二人はあわてて浅草寺に駆けつけるが・・・。
(2008年9月30日 第21回「浜松町かもめ亭」での録音)

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入船亭扇辰 『心眼 2010.09.24 配信開始

目の不自由な梅喜という男が噺の主人公。揉み療治で生計を立てているが、世の中は不景気でなかなか仕事がない。弟が暮らしている横浜へ仕事を求めに出かけたが、実の弟に「この不景気に食いつぶしにきた」となじられ、早々に東京へ戻ってくる。梅喜を支えているのが糟糠の妻、お竹。お竹は悔し涙を流す梅喜をそっと慰める。なんとかして目が見えるようになりたいと願う梅喜は翌日から茅場町のお薬師様に二十一日の願掛け。杖をついて、一日も欠かさずお参りをする。今日はちょうど満願の日・・・。
三遊亭圓朝の作と言われる一席。古典芸能には神仏の御利益による奇跡をモチーフにした作品が数多くあるが、この噺は、単純に奇跡を描くのではなく、状況の変化によって様変わりする人間の心理や、夫婦のありかたについて深く切り込んでいる。扇辰は繊細な語り口で、梅喜が身の不運を嘆く気持ちと、それをやさしく包む女房、お竹の関係をまずくっきりと描いている。満願で目が開いてからは、展開を早め、梅喜の浮き立つ気持ち、そして美しい芸者に誘惑され、あっという間に惹かれていく心理の変化を表現。女房のお竹が浅草寺から梅喜と芸者のあとを追うくだりも写実を越えたタッチで面白い。急転直下のサゲまで、緊密に計算された二十数分である。
(2010年3月25日 第38回「浜松町かもめ亭」での録音)

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三遊亭歌武蔵 『胴斬り 2010.09.10 配信開始

幕末の頃。ひとりの侍が新しい刀を手に入れ、ひとつ「試し斬り」をしてやろうと夜の町を徘徊している。目を付けられたのがお湯屋帰りの竹という男。日ごろからぼーっとしているうえに湯上がりでさらにぼーっとしていたので、侍もこいつなら斬りやすそうだと判断。侍は刀を構えると、男の胴を横一文字にすっぱりと斬り、そのままどこかへ行ってしまう。竹の上半身は用水桶の上に乗っかり、下半身はそのまま路上に立っている。侍の腕前がよすぎたのか、上半身と下半身が分離されたまま、死なないでいるのだ。そこに通りかかったのが竹の友達、又さん・・・。

胴斬りにされた男が、上半身と下半身にセパレートされたまま日常生活を続けるという奇想天外なアイデアの一席。上方落語では一席物として口演され、東京落語では小咄として扱われることが多かったが、歌武蔵は上方型を東京に移植。立派な一席物に仕立てている。上半身と下半身がバラバラになるというのは、リアルに考えればたいへんな惨劇。しかし、落語は血なまぐさくなりそうなところをうまく回避して、とぼけた展開にしている。歌武蔵の登場人物を俯瞰したような語りが効果的。噺の大詰め前に、学校寄席に出かけた逸話を挿入しているのも面白い構成である。噺の中で、下半身はこんにゃく屋に奉公する。現在のように機械化される以前、こんにゃくの製造では煮た芋の組織を足で踏んで練っていた。その光景がスケッチされているのも興味深い。

(2009年5月21日 第30回「浜松町かもめ亭」での録音)

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橘家文左衛門 『ちりとてちん最新掲載情報 2010.08.17 配信開始
噺の舞台はあるお屋敷。碁の会が中止になったので誂えた料理がすっかり余ってしまい、旦那の友達、六さんに手伝ってもらいます。六さんはお世辞のいい人で、愛想をふりまくながら、酒、肴を平らげます。
次に呼ばれたのはひねくれ屋の寅さん。なんにでもケチをつけ、知ったかぶりばかりしているので、旦那はあるイタズラを思いつきます。台所で腐らせてしまった豆腐を「台湾名物ちりとてちん」と名付け、寅さんに食べさせてしまおうというのです。寅さんに話をすると、案の定「ちりうとてちんならよく食べていた」という返事。そう言った手前、寅さんは「ちりとてちん」を食べることになるのですが・・・。

東京落語の「酢豆腐」を改作したこの噺。もともとは上方落語の演目でしたが、近年は東京でも人気作になっています。文左衛門さんの口演は、まず六さんの大仰なお愛想ぶりが笑いをさそいます。続いて登場する寅さんは、口では悪態をつきながら、灘の生一本や鯛の刺身、鰻の蒲焼きを次々とたいらげていくところに本音が見えてかわいい人物。知ったかぶりの度が過ぎて「台湾ではいろいろな種類のちりとてちんがある」などと作り話をはじめるくだりは大笑いです。大詰め、いよいよ「ちりとてちん」の試食になってからは文左衛門さんの熱演が音声だけでもよく伝わってくる迫力の高座です。
(2009年11月19日 第36回「浜松町かもめ亭」での録音)
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橘家文左衛門 『天災最新掲載情報 2010.08.17 配信開始
気が短く、喧嘩早い八五郎が、町内の隠居の
提案で、紅羅坊名丸という心学の先生を訪ね、人の道を教えて貰うことになります。紅羅坊名丸先生は、わかりやすいたとえ話をして「堪忍の心」を教えようとしますが、八五郎は先生の話を片っ端からまぜかえし、会話は混乱するばかり。
果たして八五郎の心に変化は訪れるのでしょうか・・・という滑稽噺です。

文左衛門さんの演出は、口は悪いが腹にはなにもない江戸っ子の気性をストレートに描写。八五郎の言動は、はた迷惑ではありますがどこか憎めず、笑いを誘います。また、日ごろ「強面キャラ」で売っている文左衛門さんですが、大詰めの夫婦の会話や、八五郎がたばこ屋に「有り難うよ」と例を言うくだりなどには、地金にある優しさが顔をのぞかせています。
(2009年11月19日 第36回「浜松町かもめ亭」での録音)
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四代目 三遊亭金馬 『景清最新掲載情報 2010.07.16 配信開始
彫り職人の定次郎は眼病を患い、失明してしまった。普段は気丈に振る舞う定次郎だが、本心はもう一度、光りを取り戻し仕事をしたいと願っている。霊験あらたかだという赤坂の円通寺(日朝様)に日参をするが、お籠もりの晩、持仏堂で一緒になった女性に手を出したため、仏罰が当たったものか、目がますます悪くなる。日ごろから定次郎のことを心配している小川の旦那が「日朝様もよいが上野の清水様は平景清(みずからの両眼をえぐり、観音様に納めたという伝説がある)に所縁の観音様。ことに眼病にはよいと伝えられる」と薦めるので、今度は清水様に百日間の願掛け。満願の日。おっかさんが着せてくれた縞物の着物に身を包み、観音堂を目指す定次郎・・・。
(2008年10月08日 第22回「浜松町かもめ亭」での録音)
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桂小金治 『長短最新掲載情報 2010.07.16 配信開始
幼なじみの長さんと短七さん。長さんはなにをするにもスローモーなのんびり屋。短七さんは江戸っ子を絵に描いたような短気な御仁。正確は正反対だが二人は大の仲良しである。ある日のこと。短七さんのところを訪ねた長さんが「昨日の晩、小便に起きたら空に星がなかったので明日は雨かなと思ったらやはり雨だった」と世間話をするが、その口調ののろさに短七さんはイライラ。次に菓子を勧めれば、長さんがいつまでもモグモグと噛んでいるのでまた頭に来て「菓子はこう食うんだ」と一口で丸呑みにする。さらに、キセルで一服つけはじめた長さんの悠長な仕草も面白くない短七さんは「煙草の吸い方」の見本を示して見せるが・・・。
(2008年10月08日 第22回「浜松町かもめ亭」での録音)
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金原亭馬治 『親子酒 2010.07.06 配信開始
親子の酒好きを描いたおなじみの一席である。ストーリーは小咄と言ってもよいくらいのシンプルなものだが、夜の時間を持て余す大旦那の心持ちや、しぶしぶながら酒の燗をする女房の働き、息子が父親に言い訳をするくだりなどなど、夫婦や親子の姿がよくスケッチされている。十代目・金原亭馬生の傑作のひとつがこの噺だった。今回の演者である馬治は十代目の孫弟子。大師匠のつくりあげた噺の雰囲気をよく継いでいる。マクラで語る親孝行の逸話や、師匠である十一代目・馬生との師弟関係のエピソードも面白い。
(2008年10月08日 第22回「浜松町かもめ亭」での録音)
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柳家喬太郎 『時そば 2010.06.04 配信開始
江戸の夜ふけ。往来を流して歩く二八そば屋(にはちそばや)にひとりの客がやってくる。客は「しっぽく(具ののった温かいそば)」を頼むと「景気はどうだい?商売は商い(あきない)というくらいだ、飽きずにやんなくちゃいけねえぜ」と亭主に話しかける。亭主が相手をすると客はつづけて「あたりや」という屋号や、割り箸、器、そばのダシ、麺のコシ、具の竹輪までをつぎつぎに褒めちぎり、そば一杯を平らげる。二八そばの値段は一杯十六文。客は一文銭十六枚で勘定を支払うと言うと小銭を取り出し、「・・・五つ、六う、七、八、蕎麦屋さん、いま何時だい」「へい九つです」「十、十一、十二・・・」。男は勘定の途中で時刻を訪ね、一文ごまかすことに成功する。その様子をわきで見ていた間抜けな男がこのからくりに気がつき、翌晩、自分も真似をしようとするが・・・。
(2010年05月13日 「浜松町かもめ亭スペシャル 柳家喬太郎 江戸料理 平らげて一席」での録音)
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■落語の蔵で、『時そば』 を ききくらべ!
『時そば』  古今亭菊六
『時そば』  瀧川鯉昇
柳亭市馬 『味噌蔵(かもめ亭バージョン) 2010.05.07 配信開始
おなじみの名作落語「味噌蔵」。名題の倹約家である味噌問屋の主人と、その家の奉公人たちの攻防(?)を描いた噺です。主人公の吝兵衛さん立派な味噌問屋の主人ですが、四十を過ぎてもひとり者。
その理由が「女は飯を食べる」というもので、周囲は呆れ顔。しかし、商売仲間から無理やりおかみさんを紹介され、所帯を持つことに。やがておかみさんは懐妊。実家に帰って玉のような男の子を出産します。
祝宴をするというので、吝兵衛さんさんは丁稚を連れておかみさんの実家へ。振る舞われるご馳走は重箱に入れて持ち帰り、行きとは違う高い下駄を履いて帰るという算段。店に残った奉公人は主人の留守につかの間の贅沢をしようと考えますが・・・というストーリーです。
市馬さんの口演は、吝兵衛さんの人間造型が秀逸。極端な倹約家ですが、決して嫌な人物ではなく、その人間性が愛らしく表現されています。はじめは寒さしのぎにおかみさんの布団へ入ったのが、やがていそいそと「二階通い」をはじめる心境の変化など、いかにも人間らしく頬が緩みます。
後半は奉公人たちの宴会シーンが展開。日頃、ひもじい思いをしている奉公人のつかの間の贅沢がどんな顛末を迎えるのか!?ぜひお聴き下さい。
(2009年11月19日 第36回「浜松町かもめ亭」での録音)
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柳亭市馬 『粗忽の釘 2010.05.07 配信開始
爆笑を呼ぶ滑稽噺の「粗忽の釘」。演目の通り、粗忽者の大工さんを主人公にした一席で、底抜けの粗忽者が引っ越しの日に繰り広げるドタバタを描いた作品です。引っ越しの最中、自分の長屋がわからなくなってしまった男は方々を巡り歩いたあげく、ようよう新居(長屋)へたどり着きます。
休む間もなく女房から「壁に箒を掛ける釘を打っておくれ」と頼まれ、請け合ったまではよかったのですが、持ち出したのは八寸もある瓦釘。おまけに打ち込んだ釘が隣家まで貫通したものだから・・・
というおなじみのお噂です。
市馬さんの口演は、粗忽者の亭主と、口うるさい女房のバランスが絶妙。亭主が隣家を訪ねてなぜか語り出す「女房との馴れ初め話」には夫婦愛があふれます。マクラで話している先代小さん師匠の粗忽話も含め、ほのぼのと楽しめる佳品です。
(2009年11月19日 第36回「浜松町かもめ亭」での録音)
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橘ノ圓満 『豊竹屋最新掲載情報 2010.05.03 配信開始
落語芸術協会の橘ノ圓満さん。
演目は「豊竹屋」です。素人義太夫に熱を上げ、朝から晩まで自己流の義太夫をうなっている豊竹屋節右衛門という男を主人公にした一席で、全編が言葉遊びと音楽的な楽しさに満ちています。
当然、演者にも音楽的な素養が求められますが、圓満さんは落ち着いた声音と口調、それに音感を生かして、義太夫節を楽しく聴かせてくれます。
義太夫は文楽や歌舞伎の伴奏音楽として発達しましたが、むかしは大衆に親しまれ、日本人の基礎教養のひとつでした。いまで言う歌謡曲のようなものだったのです。義太夫をうなりまくる主人公の言動は、今で言えば、一日中、自作の歌を口ずさんでいるようなもの。本人の熱中度と、周囲の困惑が目に浮かび、笑いを誘います。
(2009年9月14日 第34回「浜松町かもめ亭〜二つ目祭り」での録音)
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三遊亭きつつき 『権助魚最新掲載情報 2010.05.03 配信開始
五代目圓楽一門会の若手、三遊亭きつつきさんによります「権助魚」。
妾(愛人)のところに通いたい旦那と、旦那の浮気を見抜いた奥さんの心理戦が噺のシチュエーションで、その間に飯炊き(使用人)の権助がはさまれたところから悲喜劇が展開します。きつつきさんは五代目圓楽一門期待の若手。独特のフラ(おかしみ)があり、なんでもない会話がなんとも可笑しい!
この「権助魚」でも、田舎出身の木訥な権助が繰り返す勘違いと失敗を、計算なのか無計算なのかわからない微妙なニュアンスで演じています。
マクラでの自虐的な自己紹介や、きつつき家での夫婦関係を描いた逸話もおかしく、理屈抜きに楽しめる一席です。
(2009年9月14日 第34回「浜松町かもめ亭〜二つ目祭り」での録音)
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鈴々舎馬るこ 『イタコ捜査官メロディ 2010.04.16 配信開始
浅草の寺院で住職の死体が発見された。鈍器のような物で頭を叩かれたのが直接の死因だという鑑識結果。殺人事件の可能性が濃厚だが、住職の死体があった部屋は完全な密室で、人の出入りはなかった。警視庁捜査一課に配属されたばかりの新人、鈴木一郎はこの難事件の捜査に当たるが、ベテランの村岡警視が「これは特別捜査官に頼むしかない」と言い出す。その捜査官は民間人だが、死者の魂を自分の肉体にやどらせるという秘技があり、その能力が必要とされたときだけ、警視庁が特別捜査官として任命するのである。その人の名は「イタコ捜査官メロディ」。本名は岡山義男というれっきとした男だが、ゲイバーのママが仕事で源氏名が「メロディ」と言うのだった。村岡警視の命令を受けた鈴木一郎は新宿二丁目のゲイバーにメロディを迎えに行くが・・・。
鈴々舎馬るこ、自作の一席である。
(2009年1月23日 第26回「浜松町かもめ亭」での録音)
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三遊亭兼好 『目黒のさんま 2010.03.19 配信開始
お馴染み「目黒のさんま」をお楽しみください。
世間知らずのお殿様が、野駆けに出かねた目黒の里で、生まれて初めて「さんま」を食べ、あまりの美味に仰天。その日の味が忘れられず、お屋敷に帰ってからも思い出すのは「さんま」のことばかり・・・というよく知られた噺です。
兼好師匠の口演は明瞭で知的。世間知らずな殿様の生活を風刺した噺ですが、殿様も家臣もみな好人物であるがゆえに起きてしまう悲喜劇をテンポ良く描いています。
(2009年10月28日 第35回「浜松町かもめ亭 百栄・兼好二人会」での録音)
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■落語の蔵で、『目黒のさんま』 を ききくらべ!
『目黒のさんま』 三代目 三遊亭金馬
『目黒のさんま』 立川談修
『目黒のさんま』 柳亭市馬
三遊亭兼好 『一分茶番(権助芝居) 2010.03.19 配信開始
兼好師匠の「一分茶番」。
今日は素人芝居の当日ですが、盗賊の役を勤めるはずの若旦那が役に不満でやってこない。代役をさがすなか白羽の矢が立ったのが飯炊きの権助。田舎言葉丸出しの無骨な男ですが、急拵えの稽古で舞台に立ったから大変・・・という滑稽噺です。
落語には芝居をモチーフにした噺が多くありますが、この噺が描くのは素人芝居の大騒ぎ。兼好師匠の口演は軽やかでクリア。権助の素朴さ、木訥さと番頭のやりとりが掛け合いのようで笑いを誘います。。後半、盗賊役の権助と奴役の提灯屋が本当に「立ち回り(格闘)」をしてしまう展開はスラプスティック・コメディ映画を観ているような楽しさに満ちています。
(2009年10月28日 第35回「浜松町かもめ亭 百栄・兼好二人会」での録音)
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■落語の蔵で、『一分茶番』 を ききくらべ!
『一分茶番』 三遊亭鳳楽
立川志遊 『ねずみ 2010.03.19 配信開始
左甚五郎の活躍を描いた「甚五郎」もののひとつです。噺の舞台は奥州・仙台。
怪我と悪妻のため、苦境に立たされた旅籠の親子を甚五郎がその神業的な技量で救うという一席です。
若き真打、立川志遊の口演はまことに折り目正しく、旅籠の主人の律儀さ正直さにぴったりマッチ。名工、甚五郎のまったく偉ぶらない人物像も素敵な造型です。また苦境をものともしない旅籠のせがれ、卯之吉の健気さも的確に表現され聞き手の涙を誘います。。三十分を越す長講ですが、緊密な語りで長さを感じさせない好演。立川流にまたひとり、期待の才能が現れました。
(2009年12月5日 第37回「浜松町かもめ亭 立川志遊真打昇進披露会」での録音)
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■落語の蔵で、『ねずみ』 を ききくらべ!
『ねずみ』 入船亭扇橋
『ねずみ』 立川志の輔
『ねずみ』 瀧川鯉昇
立川龍志 『崇徳院 2010.03.01掲載
「浜松町かもめ亭」には初登場、立川流の重鎮、立川龍志師匠による「崇徳院」の一席です。ある大店の若旦那が病で伏せってしまいますが、その原因をよくよく聞いてみれば「恋患い」。上野の清水様に参詣、茶店で美しいお嬢様と口を利き、彼女がくれた短冊にはそこには「瀬を早み岩にせかるる滝川の」と崇徳院が詠んだ和歌の上の句がだけ記してありました。果たしてこの和歌の意味は・・・?
龍志師匠の口演は、若旦那の恋の相手を探しに右往左往する職人、熊の人間像が絵に描いたような江戸っ子。その口調はもとより、さっぱりした気性が心地よく心に響きます。
(2009年12月5日 第37回「浜松町かもめ亭 立川志遊真打昇進披露会」での録音)
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春風亭百栄 『おつとめ 2010.03.01掲載
春風亭百栄師匠によります珍品古典落語「おつとめ」。ひまを持て余した町内の若い衆が百物語(怪談の披露会)をやろうとしますが、熊には怪談の持ちネタがなく、知り合いの和尚さんに何か噺はないかと所望します。和尚さんが話してくれたのは、若き日に托鉢修行の旅に出ていたときの怪異談。山深い尼寺での出来事でした。熊はさっそくその噺を披露しようとしますが・・・。
百栄師匠の口演は、後半、熊の怪談披露が失敗におわるくだりが大いに笑いを誘いますが、前半の和尚様の怪談噺も面白い味。尼寺を舞台にした本当とも嘘とも付かぬ逸話が百栄師匠のとぼけた口調とあいまって余韻を残します。
(2009年10月28日 第35回「浜松町かもめ亭 百栄・兼好二人会 」での録音)
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春風亭百栄(収録時 春風亭栄助) 『佐野山最新掲載情報 2010.03.01掲載
百栄師匠が二つ目時代の貴重な録音「佐野山」。2008年1月の収録で、当時は春風亭栄助という名前でした。このネタは寛政年間の名力士伝を集成した「寛政力士伝」のひとつで別名を「谷風の情け相撲」。名横綱、谷風と苦労人の前頭筆頭、佐野山の勝負に隠された秘話を噺に仕立てたものです。(谷風は実在しましたがストーリーそのものはフィクションだと言われています)
この噺の聴き所は谷風の大きさ。強いというだけでなく、人間性も高い谷風の情けが聴く者の胸にせまります。対する佐野山の人の良さもよく表現され、後味良く楽しめる一席です。
(2008年1月23日 第13回「浜松町かもめ亭 一周年記念会」での録音)
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川柳川柳 『ジャズ息子 2009.12.24掲載
舞台は昭和三十年代の東京。小卒で会社を成功させた親父は、大学生の一人息子が毎日遊んでばかりいるのでおかんむり。とくに気に入らないのは、「勉強のため」だと言って親に買わせたステレオでジャスばかり聴いていること。今夜もジャズを口ずさみながら帰宅した息子をつかまえて、小言を言うが「ジャスは黒人の魂の叫びです。お父さんに虐げられた黒人の気持ちがわかりますか」と反論され親子喧嘩になる。息子は親父の大好きな義太夫を「為政者のつくらせたもの」と批判し始め、さらには「お母さんが死んだのも義太夫のせい」だと言い出したので親父は激怒。息子は二階の一人部屋へあがってゆく。階下の親父は気分を改めるため、義太夫の稽古をはじめる。曲は「摂州合邦辻・合邦庵室の段」。すごい声でうなりはじめたところに息子の友達がやってきて・・・。
(2008年3月21日 第15回「浜松町かもめ亭」での録音)
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三遊亭圓橘 『雁風呂 2009.12.18掲載
水戸藩藩主として誰もが知る水戸黄門(光圀)が武士の姿に身をやつし、数人の供だけを連れて東海道を京へのぼっていたときの逸話。黄門一行が遠州・掛川の宿に立ち寄り、街道筋の料理屋で昼食をとった。ふと、店にあった屏風に目をやると、土佐将監、狩野光信の作による見事な作。しかし黄門様は「はて不思議なことだ」と首をかしげる。絵画の約束事では、「月に雁」「葦に雁」あるいは「松に鶴」「松に日の出」がお決まりの取り合わせであるが、その屏風には「松と雁」が描かれていたからである。「この取り合わせにはどのような謂われがあるか」と家臣の者に訊くも、誰もわからず、がっかりしていたところへやってきたのが上方者の二人連れ。商人らしく、店の縁台に腰を下ろすと世間話をはじめるが、年かさのほうが店の奥にある屏風に目を留め、連れに「あの絵がわかるか」と問う。問われた男もさるもので「へぇ、雁風呂でっしゃろ」。なにやら「松と雁」の絵には謂われがある様子。水戸黄門は町人を呼び寄せ、絵解きをしてくれと頼むが・・・。
(2008年11月11日 第23回「浜松町かもめ亭」での録音)
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春風亭百栄 『素人義太夫 2009.12.11掲載
古典落語の名作に「寝床」がありますが、この噺の前半部分を独立させ、一席に仕立てのが「素人義太夫」です。ある大店の旦那さんは大の義太夫好きですが、これが空前絶後の下手くそ。店の者や、家作に持っている長屋の店子を集めて義太夫を聞かせようとしますが、皆が言い訳を並べて逃げようとします。「素人義太夫」は、旦那を中心に、周囲の人間の動きと「言い訳」、そしてだんだんと不機嫌になる旦那の変化にスポットを当てた一席です。
百栄師匠の口演は、人のいい番頭さんが恐縮しながらも皆の欠席の理由をぽんぽんと並べて行くくだりになんとも言えぬ味わいがあり、笑いを誘います。大詰めではその昔、この家の番頭が無理やり義太夫を聞かされたため、行方不明になってしまったことが明らかになります。このくだりのギャグは百栄オリジナル。理屈抜きに笑える一席です。
(2008年11月11日 第23回「浜松町かもめ亭」での録音)
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春風亭百栄 『桃太郎DV 2009.12.11掲載
百栄ワールドが炸裂する「桃太郎DV」をご紹介。古典落語の定番作品「桃太郎」を百栄師匠が増補改訂した一席です。従来の「桃太郎」は、寝物語に昔話を聞かせる父親とその息子を登場人物に、むかしの頑是ない子供と、いまのこまっしゃくれた子供の対比をして笑いを誘いますが、百栄版には第三の親子が登場。
噺の舞台はなんと現代のアメリカで、女房に逃げられたちょっとアブナイ父親がわが子に桃太郎を語って聞かせますが、なぜか噺の内容は猟奇的なものに。ハリウッドのB級ホラー映画を見るように、怖さと笑いがまじりあった世界が展開されます。タイトルの「DV」は「ドメスティックバイオレンス」の略。世界的な問題になっているDVと桃太郎の昔話をからませた着装が面白い、百栄風味の爆笑滑稽噺をお楽しみください。
(2008年11月11日 第23回「浜松町かもめ亭」での録音)
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立川生志 『二番煎じ 2009.11.16掲載
今回は文化放送の落語会「浜松町かもめ亭」でのライブ録音から、立川生志師匠の「二番煎じ」を蔵出しいたします。「落語の蔵」には初登場となります生志師匠。1988年に立川談志師匠に入門され、真打昇進が2008年。たっぷり二十年をかけて芸を熟成させた大器です。また、二つ目時代は「にっかん飛切落語会優秀賞」や「NHK新人演芸大賞審査員特別賞」も受賞された実力派としても知られています。
今回配信いたしますのは、冬の噺の代表作「二番煎じ」。
江戸時代、江戸の町は火事が多く、平均すると三年に一回は「大火(たいか)」と呼ばれる大火事が起きていました。そのため、早くから火消し制度などが完備されましたが、それだけでは不安なため、町人レベルでも「火の回り」という防火巡回が行われていました。
「二番煎じ」は、火の回り(夜回り)のために火の番小屋に集まった大人たちをスケッチした噺です。
生志師匠の口演は、江戸の冬の寒さを根底にしっかりと描き、そのうえで、夜回りをする伊勢屋の旦那、謡の黒川先生、粋人の辰っつあん、お人好しの宗助さんというキャラクターを見事に表現しています。
登場人物の四人は職業も立場も違います。お互いは相手を尊重し、距離を測りながらも楽しく夜を過ごします。後半は火の番小屋での酒宴になりますが、本来、番小屋での飲酒は御法度であるため、人目をはばかり、そっと呑みます。冬の夜の冷気と静けさ、そして禁を破って酒を飲む楽しさがここでは横溢します。
聴き終わればきっとお酒が飲みたくなる「二番煎じ」。
暖かい部屋でじっくりと聴くも良し、携帯プレイヤーに入れて夜の町を散歩しながら聴くもよし、それぞれの方法でどうぞお楽しみ下さい。
(2008年12月10日 第24回「浜松町かもめ亭」での録音)
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三遊亭白鳥 『メルヘンもう半分 2009.10.01掲載
今回は8月28日に開催されました文化放送の落語会「浜松町かもめ亭」の最新録音を蔵出しいたします。「かもめ亭」には初登場、三遊亭白鳥師匠の「メルヘンもう半分」です。
演題にもある通り、古典落語の怪談噺「もう半分」を下敷きに、白鳥師匠が独自のアレンジを加えたオリジナル・バージョン。雪の江戸と、メルヘンの世界が融合したちょっと不思議な一席になっています。
噺の舞台は江戸は永代橋のたもとにある一軒の居酒屋。鋭い目つきをした寡黙な亭主と、こま鼠のように立ち働く夫婦が経営をする店です。この夫婦、もともとは江戸者ではなく、ある事情からかつて住んだ土地を逃げ出したという過去を持っています。雪の降る晩、店にやってきたのは、かつて同じ国で暮らしていた男。
所用から江戸にやってきた男は懐かしさと寒さから、店を訪問したのです。亭主は男を迎え入れますが、過去に触れたくない女房は渋い顔。そして、男が思わぬ大金をもっていたところから三者の人生は狂い始めます。
噺の展開は古典の「もう半分」とほぼ同じですが、居酒屋夫婦の過去を隠そうとする陰影や雪の中での殺し場など、白鳥師匠らしい詩情があふれる一席。
「落語の蔵」では五街道雲助師匠の口演による古典版「もう半分」も配信していますので、両者を聞き比べれば楽しさも倍増です。
(2009年8月28日 第33回「浜松町かもめ亭」での録音)
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桂文字助 『阿武松 2009.09.08掲載
今回は文化放送が主催する落語会「浜松町かもめ亭」の口演から、桂文字助「阿武松」の一席を蔵出しいたします。
能登の国から出てきた若者が名力士を目指して江戸の関取、武隈文右衛門に入門。
小車という名前を貰いますが、あまりの大飯喰らいのため破門をされてしまいます。部屋を追われ、いっそ死んでしまおうかと思い詰めたところを立花屋善兵衛という人に救われたところから人生が一転。根津七軒町に部屋を構える錣山関の ところへ再入門、小緑という名前を貰い、再び力士の道を歩み始めます。この小緑こそのちの六代目横綱、阿武松緑之助・・・というサクセスストーリーです。
口演する桂文字助は大の相撲好き。日頃から相撲部屋に稽古を見に行くほどの研究家で、この噺の中でも、当時の相撲界の仕組み、横綱の来歴、場所の様子などをじつに細かく語っています。
(2008年9月30日 第21回「浜松町かもめ亭」での録音)
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柳家喬太郎 『うどんや2009.05.15掲載
今回は、文化放送の落語会「浜松町かもめ亭」のライブ録音より、柳家喬太郎の 「うどんや」を蔵出しいたします。 落語ファンにはおなじみ、五代目・柳家小さんの 十八番だったこの噺。滑稽噺ではありますが、うどんや相手に友達の娘が 嫁入りした感慨にひたる酔客の問わず語りには情感があふれ、ほろりとさせられま す。また全編に横溢するのが江戸の夜、静寂と寒さの空気感。 喬太郎は声の出し 方を絶妙にコントロールし、夜のムードをよく出しています。有名な「時蕎麦」 とは対照的に、じっくり、静かな味わいの「うどんや」。 ダウンロードして深夜 に聴いてみてはいかがでしょうか?
その結果としてうどんが猛烈に食べたくなっ ても責任は負えませんが・・・。
(2008年12月31日 第25回「浜松町かもめ亭」での録音)
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柳家喬太郎 『寿司屋水滸伝
今回は「浜松町かもめ亭」でのライブ録音より、柳家喬太郎さんの「寿司屋水滸伝」を蔵出しいたします。
喬太郎さんの自作によるこの噺は、中国の古典文学「水滸伝」を下敷きに、舞台を日本の寿司屋に移して現代的な笑いをちりばめた一席です。
主人公は寿司屋の跡継ぎに生まれたものの、和食に馴染めず洋食の修行をしてしまった二代目店主。
言葉づかいや考えることが逐一キモく、喬太郎ワールドが炸裂。
そんな店に集まってくる男たちも一癖も二癖もある強者揃いばかりで笑いを誘います。
現実にありそうで、ありえない喬太郎ワールド。喬太郎さんの落語で大いに笑ってください。
(2008年12月31日 第25回「浜松町かもめ亭」での録音)
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柳亭市馬 『掛け取り
市馬十八番の内より「掛け取り」。大晦日の貧乏長屋を舞台に、借金
の掛け取り(集金)に来る人々と、それを洒落と趣向で追い返そうとする夫婦の
応酬を描いた噺です。市馬師匠の美声と歌の上手さはよく知られていますが、こ
の噺でも、自慢の喉をたっぷり聴かせてくださいます。借金の言い訳までも遊び
にしてしまう江戸の人々の精神的豊かさが横溢した一席です。
(2007年11月22日「第11回 浜松町かもめ亭」での録音)
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柳亭市馬 『らくだ
五代目・柳家小さん師匠の十八番を継承した古典落語の大作「らくだ」。
「らくだ」とあだ名された男の弔いを巡って、兄貴分、屑屋、長屋の人々が繰り
広げる悲喜劇を描いた傑作。市馬師匠の口演は、弔いというテーマを扱いながら
もからっと明るく笑いだくさん。しかし、後半に入り屑屋が酔態を見せはじめて
からはじわじわと人間の怖さ、不気味さを描き出しています。
(2009年4月24日「第16回 浜松町かもめ亭」での録音)
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三遊亭圓窓 『鼓ヶ瀧
今回は「浜松町かもめ亭」の録音から、三遊亭圓窓師匠の「鼓ヶ瀧」を蔵出しいたします。歌人としていまに名高き西行法師が若い頃に体験した神秘的なエピソードを一席の噺に仕立てた物語。講釈から落語に移植され、もとは上方落語で演じられていた噺ですが、現在、東京では圓窓師匠が得意にされているネタです。圓窓師匠の口演は、西行法師が謎めいた老夫婦や子供から和歌の手直しを受ける件も明晰で大変わかりやすい展開。和歌に馴染みが無くともすんなり理解できます。
また、和歌に関するマクラや歌を添削する理由など、圓窓師匠ご自身の文学的素養が噺の隠し味になっています。円熟の一席をご堪能下さい。
(2008年9月21日「第9回 浜松町かもめ亭」での録音)
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古今亭寿輔 『文七元結
今回は古今亭寿輔師匠による人情噺の大作「文七元結」を蔵出しいたします。
これまで新作落語を多く手掛けられてきた寿輔師匠ですが、今年になって「文七元結」を初演。寄席でも連続口演をされた話題の一席です。
人情噺へのアプローチは演者によってさまざまですが、寿輔師匠の口演は、シリアスに傾かず、つねに笑いと涙が同居し、間口広くだれにでも楽しめるところが特徴。まさに落語の「文七元結」なのです。
善人ばかりが登場する名作人情噺で、寒い季節を暖かくすごしましょう!
(2008年5月23日「第15回 浜松町かもめ亭」での録音)
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古今亭寿輔 『ぜんざい公社
落語芸術協会の重鎮、古今亭寿輔が演ずる「ぜんざい公社」。
明治期に上方で創作された「古い新作落語」に、独自のセンスで毒や現代性を盛り込み、自家薬籠中の仕上がり。主人公が、ぜんざい公社の建物の中をたらい回しになる展開は、悪夢的でもあり、近未来を舞台にしたSF小説を読むよう。
寿輔のシニカルな視線が隅々にまで行き渡った上々の出来です。
(2008年5月23日「第15回 浜松町かもめ亭」での録音)
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五街道雲助 『もう半分
8月29日に開催されました第20回「浜松町かもめ亭」の録音から五街道雲助の怪談噺「もう半分」を早出しにてお届けいたします。
怪談噺と言いますと「牡丹灯籠」、「真景累ヶ淵」のような長編の続き物が知られていますが、この「もう半分」は一席で完結するもので、最後にはサゲもつくという、誠に落語らしい噺になっています。怪談噺の入門編としてオススメの一席です。
また、「もう半分」は古今亭志ん生、十代目金原亭馬生、古今亭志ん朝と古今亭系統の落語家に継承され(雲助自身も馬生門下)ていますが、雲助は五代目林家正蔵の速記を元に、独自の改訂を施し、少し違った味わいの噺になっています。
途中、芝居掛かりになる部分もあり、演出的にも楽しんで頂けると思います。
(2008年8月29日「第20回 浜松町かもめ亭」での録音)
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林家正雀 『質屋蔵
「質屋蔵」は怪談風の枠組みを持っているが、最後まで聴けばサゲがあり、
見事に「落語」になっている一席である。三番蔵の怪異とは何か?が噺の骨子ではあるが、主人が質物には人間の思いや怨みが籠もっているとして語る「おかみさんが苦心惨憺して二分の帯を買う」エピソードや、出入りの熊が酒や沢庵、下駄までを伊勢屋から泥棒していた話など、面白い件が詰まっていて飽きさせない。
正雀の口演は折り目正しく主人の品格を出し、また各々のエピソードでは充分なおかしみを表現している。サゲ近くには芝居掛かりになる部分があり、ここは下座入りで堂々たる演出。怖く、楽しく聴ける一席である。
(2007年8月23日「第8回 浜松町かもめ亭」での録音)
林家正雀 『累草子 親不知の場
三遊亭圓朝の師匠、二代目・三遊亭圓生の作になると言われる長編怪談噺の一節。
与右衛門という侍が関係した女を殺害し、その祟りが累々と続いていくという「累」伝説のバリエーションのひとつであり、圓朝作「真景累ヶ淵」の先行作であるところから「古累(ふるかさね)」とも呼ばれる。近年は八代目・林家正蔵(彦六)が口演し、その門人である林家正雀が今日に継承。圓朝物の怪談にくらべ、上演頻度が低く、貴重な録音である。与右衛門はいそと夫婦約束をするが、心変わりをして親不知の峠で彼女を殺害する。離縁を切り出す件から、殺害、そして切れ場の怪異までが芝居掛かりで演じられ、三味線やツケも入る。芝居噺に造詣の深い正雀ならではのこなれた口演であり、まさに江戸時代の草子を読むような古風な雰囲気をよく醸し出している。
(2007年8月23日「第8回 浜松町かもめ亭」での録音)
桂九雀 『軒付け

軒付け
明治中期、大阪で流行した「軒付け」の風俗を現代に伝え、また「下手の横好き」のバカバカしさを描く上方落語ならではの爆笑名作。人間国宝・桂米朝から爆笑王・桂枝雀へと継承され、さらに枝雀門下の桂九雀と伝わった噺で、元来派手な芸風の九雀が「鰻でお茶漬け」しか頭にない男や天さんの能天気さをメリハリも鮮やかに描いている。また、酷い義太夫や、天さんの弾く「テンツテンテ?ン」や「チリトテチン」の上方落語らしい“おかしな音の表現”も聞き物だ。
(『かもめ亭 ぶらり出前の旅』倉敷公演での録音)
三遊亭圓橘 『夢金

夢金
古い江戸落語の名作で、笑われる箇所は少ないが、雪の大川を小舟が行く美しい描写とオチの馬鹿馬鹿しさが好対照。圓橘は江戸世話狂言の味わいが得意な演者だけに、六代目圓生譲りのこの噺でも、震えながら割前を訊く件で熊の欲深さの奥にある愛嬌を描き、怪しい声音で浪人の無気味さを描くといった具合に、曲者二人を見事に演じ分けているのが聞き物だ。また。熊が舟を漕ぐ仕科や息遣いには雪の降りしきる寒さが感じられ、舞台となる夜の闇と雪模様に耽美的なリアリティを持たせてもいる。
『かもめ亭 ぶらり出前の旅』倉敷公演での録音。
(『かもめ亭 ぶらり出前の旅』倉敷公演での録音)
林家たけ平 『大師の杵

大師の杵
落語には、演者の語りでストーリーを進める「地噺」というジャンルがあり、「源平盛衰記」「御血脈」や、この「大師の杵」などが代表作。弘法大師の生涯には、二十代の若き日に謎の空白期があるとされ、その時期の恋物語を落語式に(つまり無責任に)想像したのがこの噺である。噺の舞台が落語にはめずらしく川崎になっているのは、言うまでもなく川崎大師からの連想だろう。たけ平の口演は、古めかしい筋立てに、現代語のギャグを放り込み、面白い。本来のストーリーと脱線部分が混乱なく噺におさまっているので落語初心者でも聴きやすい。たけ平の大師匠、林家三平は同じような構成の「源平」を得意にしていたが、たけ平は見事に一門のお家芸を継承していると言えよう。
(『かもめ亭 ぶらり出前の旅』倉敷公演での録音)
古今亭菊六 『時蕎麦

時蕎麦
もっともよく知られた落語のひとつである。あまたの名人上手が得意にしてきた噺だが、菊六は前半のくだりをしっかりと美味そうに描き、後半はがらりと笑いだくさんに演出し楽しく聴かせてくれる。噺の中で菊六も解説しているが「二八蕎麦」の名前の由来は、一杯の勘定が二掛ける八の十六文であったからというのが有力。また、江戸の刻の数え方は今と違い、「四つ」(午後9時くらいから11時くらいまで)と「九つ」(午後11時くらいから午前1時くらいまで)が隣接していた。つまり、二番目の男は惜しいところでミスをしてしまったわけだ。もっとも、菊六の口演は、こうした知識ナシでも充分に楽しめる。状況設定はしっかりとふまえ、しかし噺そのものは軽快に運ぶ気持ちの良い一席である。
(『かもめ亭 ぶらり出前の旅』倉敷公演での録音)
三遊亭歌之介 『お父さんのハンディ

お父さんのハンディ
中学三年生のタカシ君の両親は、息子の志望校合格を願っています。
お父さんは大のゴルフ好きなのですが、息子のために一年間のゴルフ断ちをしました。
いよいよ高校の合格発表の当日。自宅で待機するお父さんはゴルフの禁断症状が出て、なにを見聞きしても「ゴルフ」に関連づけてしまいます。
そんななか、タカシ君から合格発表の結果が届きますが、さて結果は・・・。

テンポが速く、サゲまで一気に聴かせる躍動感が心地よい一席で、大笑い間違いなし!
また歌之介落語はマクラの面白さに定評があり、この録音でも、力士との交流など日常生活でのちょっとした出来事を細かい観察眼でうまくスケッチしています。
(2007年8月23日「第8回 浜松町かもめ亭」での録音)
三遊亭圓橘 『二番煎じ

二番煎じ
町内の旦那衆が火事を防ぐため、火の番の夜回りをすることになりますが、凍てつくような江戸の冬、金棒は冷たくて握れず、「火の用心」の声も北風に震えてしまうという情景がうまくスケッチされています。
「火の用心〜」と夜回りの声をきかせる圓橘の巧みな節回しをお聴きのがしなく。
噺の後半は、番小屋での酒盛り場面。本来、番小屋での飲酒は御法度であるため、人目をはばかり、そっと盛り上がる宴の風情が楽しく描かれます。
冬の落語を代表する一席「二番煎じ」、寒い夜のお供にどうぞお楽しみ下さい。
(2007年10月19日「第10回 浜松町かもめ亭」での録音)
柳家喬太郎 『転宅

転宅
本年1月23日に開催された第13回『浜松町かもめ亭 一周年記念会』の最新録音から柳家喬太郎の「転宅」をお届けいたします。
噺の舞台は大川端にもほど近い粋な町、浜町。間抜けな泥棒が留守だと思いこみ忍び込んだのはお妾さんが暮らす一軒家。食卓のお膳に酒、肴が残っているのを発見し、盗みそっちのけで飲み食いをしているところを家の主、お菊に発見され飛び上がります。
あわてて「金を出せ」と脅しに掛かった泥棒先生ですが、お菊は鼻で笑い
「わたしゃ、おまえさんの同業者だよ」と言い出します。
お菊の本業は泥棒だが、いまは金持ち旦那の妾の身の上になっているという意外な告白をはじめるお菊。二人はやがて意外な成り行きに・・・というこの噺。
泥棒の一枚上手を行くお妾さんの色仕掛けというちょっと色っぽい内容の一席です。
喬太郎の演じるお菊は、年増女の色気と可愛さがたっぷりで、「あたしも泥棒だよ」とドスを効かせたと思えば、泥棒に一緒になってくれと頼み、ふと「あ、夢見ちゃった」などと恥ずかしそうにはにかむあたりの緩急が見事です。
対する泥棒先生も、盗みを忘れて膳の物を飲み食いするシーンに人の良さが横溢し、さらにお菊に見つかり、急に芝居がかるところなども間抜けで可愛い人物像になっています。
夜の会話から一転、白昼の意外な結末にいたるまで笑いが絶えず、だれにでも楽しめるオススメの『転宅』。
「落語の蔵」としては喬太郎のはじめての古典落語配信でもあり、この機会にぜひお聴きいただきたく思います。
(2008年1月23日「第13回 浜松町かもめ亭」での録音)
柳家喬太郎 『竹の水仙

竹の水仙
今回は、文化放送で開催している落語会「浜松町かもめ亭」の最新録音から柳家喬太郎の『竹の水仙』をお届けいたします。
竹の水仙』は伝説の彫り師、左甚五郎の偉業を描いた、いわゆる”甚五郎もの”のひとつで、東海道・鳴海の宿場町を舞台にドラマが展開します。
ただの飲んだくれにしか見えなかった長逗留の客が、秘技を見せることで状況が大逆転するドラマは、まるで映画を見ているような面白さ。
柳家喬太郎は、古めかしい噺に独自の人間像やギャグを加え、ときに現代語も飛び出す新しい古典落語に仕立て直しています。
冬の夜は喬太郎の至芸で暖まってください。
(2007年7月11日「第7回 浜松町かもめ亭」での録音)
古今亭志ん輔 『幾代餅

幾代餅
昨今、テレビドラマや小説などでも人気をあつめている「純愛ドラマ」。駆け引きや打算のないストレートな恋物語に癒される人も多いのでしょう。

落語の純愛ものの代表作が、今回、配信される『幾代餅』です。
搗米屋に奉公する職人の清蔵は、浮世絵に描かれた花魁に一目惚れ。一年間の給金をためて、廓へ登楼します。花魁は全盛の太夫。しがない搗米屋の職人では相手にされるはずも無いので、醤油問屋の若旦那と職業を偽って花魁と対面しますが・・・。

幾代餅』は、昭和の名人、古今亭志ん生が得意にした一席で、その後は息子の十代目馬生、志ん朝も十八番にし、現在では志ん朝門下の志ん輔が見事に継承。志ん輔落語さわやかなのエッセンスが詰まった一席になっています。
(2007年2月に開催された第二回「浜松町かもめ亭」での録音)

柳家喬太郎 『すみれ荘201号』と『白日の約束

すみれ荘201号
白日の約束
まず、配信コンテンツの中でも大人気なのが柳家喬太郎の『すみれ荘201号』と『白日の約束』。
すみれ荘201号』は落語研究会に所属する大学生の恋愛をモチーフにした喬太郎落語の代表作。
笑いのうちにも青春の切なさが感じられる一席です。(第1回「浜松町かもめ亭」での口演)
白日の約束』は、37歳になるまで、女性にまったくモテなかった男が、会社の同僚OLからバレンタインデーにチョコレートをもらったことから繰り広げられるミステリアスなドラマです。上質な映画を見ているような一席。(第3回「浜松町かもめ亭」での口演)
柳家喜多八 『やかんなめ』と『片棒

やかんなめ
片棒
落語ファンに高い評価を受けている柳家喜多八の落語も『やかんなめ』と『片棒』の二席が配信されています。
やかんなめ』は外出先で癪(しゃく)を起こした御大家の奥さんと、そこに通りかかった侍の奇妙な関係を描いた一席。
ちょっと色っぽい雰囲気をお楽しみ下さい。(第1回「浜松町かもめ亭」での口演)
片棒』は、大家の大旦那が、三人の息子のうち誰に家督を譲るかを思案し、そのテストとして「もしおれが死んだらどんな葬式を出すか?」と問う噺。奇想天外な葬式の案が次々と飛び出し、大笑い間違いなしです。(第6回「浜松町かもめ亭」での口演)
上方落語家・桂九雀の『青菜

青菜
同じく第6回の口演からは上方落語家・桂九雀の『青菜』も配信されています。
暑い夏の夕暮れ時を舞台にした一席で、クーラーも扇風機もない時代、庶民がいかに趣向をこらして「涼」を求めていたかが情緒たっぷりに描かれます。九雀は桂枝雀の門人で、後半は笑いの絶えない楽しい一席になっています。(第6回「浜松町かもめ亭」での口演)
三遊亭遊雀の『野ざらし

野ざらし
三遊亭遊雀の『野ざらし』は、長屋の怪談噺を発端に、女にモテようと人骨を釣りに行く八五郎の奇行を描いたおなじみの滑稽噺です。遊雀は八五郎の人物像をくっきりと描写し、さらに近年では演じられることの少ない、本来のサゲまで完演しています。お聞きのがしなく。(第3回「浜松町かもめ亭」での口演)
柳家小満んの『あちたりこちたり』と五街道雲助の『お見立て

柳家小満ん
あちたりこちたり

五街道雲助
お見立て
大人向けの落語としてオススメしたいのが柳家小満んの『あちたりこちたり』と五街道雲助の『お見立て』。
あちたりこちたり』は、夕方、銭湯に出かけた男が深夜に帰宅するまでの放浪譚。
小満んの自作で、台詞の隅々にまでセンスが行き届き、上質な随筆を読むような味わいの一席です。(第4回「浜松町かもめ亭」での口演)
お見立て』は吉原の遊廓を舞台にした廓噺。お客をだます遊女の手練手管と、その裏側にあるいくばくかの悲哀を描き出します。大人に聴いてほしい一席。(第4回「浜松町かもめ亭」での口演)
立川談修の『かつぎや

かつぎや
このほか、気鋭の二つ目、立川談修の『かつぎや』も配信中。
お正月の商家を舞台に、縁起担ぎにこだわる旦那と周囲の人々をスケッチ風に描いた噺。
談修は軽快なテンポで楽し聴かせてくれます。(第1回「浜松町かもめ亭」での口演)
今後も「浜松町かもめ亭」での最新音源を続々配信予定です。ご期待下さい!
Dplats
本サイト内のコンテンツダウンロードはDplatsを使用しています。
▼Dplatsについて
http://www.rakugonokura.com/
参考リンク